社長の酒造りコラム 9年連続の2年目は危なかった
吟醸の話
前回まで2回に渡ってアミノ酸の話でしたが、今回も続きます。
日本酒におけるアミノ酸の由来は何なのかというと一つは米です。
タンパク質の多い米で造るとアミノ酸が増えると言われてます。
なので、窒素肥料が沢山入った田圃で収穫される米は悪者扱いです。
反収の少ない米が信頼されるのは、その為です。
但し、米の外側に脂肪やたんぱく質は偏在していて、精米をすればするほど
余分なたんぱく質は削られるのでは?という疑問もおきます。
タンパク質含量の米は精米歩合を高くして、タンパク質含量の少ない米は
低精白で醸す事が理屈に合っているようには思います。
「いづみ橋」の橋場さんが自社田の米の振り分けをそのようにしていると伺った記憶があります。
大分昔ですが。今でもそうなんでしょうか。それとも反収の少なかった田圃の米だったか?
で、日本酒におけるアミノ酸の由来のもう一つは酵母です。
どんな米で日本酒を造っても醪の前半はアミノ酸は少なく、
徐々に増えてきて、アルコールが18%を超えてくるとドンと増えたりします。
酵母菌体から溶け出すんですかね。他の理由もあるのかもしれませんが、
アルコール18%を超えて醪温度を10℃とかにしてるとガンガン増えます。
アミノ酸。
醪後半に7℃以下の低温にしとくとまだマシです。
アルコール16%ぐらいで、醪最終盤に5℃ぐらいまで品温を下げると
アミノ酸の増加も防げます。
吟醸酒の世界はまさにコレです。
醪日数はその分長くなっちゃいますから、タンクが必要にはなります。
確かに吟醸酒は手間も掛かるし丁寧に造られています。妥当な価格の吟醸酒は。
昔、杜氏さんが引退した翌年、吟醸造りにミスって醪日数が45日を超えた時は、
さすがに酵母も弱っているのでアミノ酸もいつもより増えましたが、それでも
低アルコール+低温で醪を引っ張る事で、そこそこのアミノ酸量で収まりました。
さすがに金賞は無理かなと思いましたが、アル添の技術の甲斐もあって
金賞にギリギリ引っ掛かったのは、今では良い思い出です。
新酒鑑評会9年連続金賞受賞の2年目でした。
何故、10年連続の年がダメだったのか。。
その反省もいつかしたいと思います。
次回に続く。。。