社長の酒造りコラム 稲刈りのやり方を変えて高いお酒を造る話
稲刈りの話
前回は稲刈り時期と稲穂の先が良いのか根元が良いのか?の話まででした。
弊社の蔵見学(一般の方は利き酒会の時以外はお断りしています)では、
精米所から見学がスタートします。
時間がある時は田圃までご案内して終了です。
短縮版では搾るところで終わりです。
その蔵見学の精米所で前回のような話、稲穂の先が先に熟して落ちる前に稲刈りしますと話していた時に
ある酒屋さんが「だったら、登熟した先の部分をカットして根元は置いておいたら良いじゃないですか?」
と言ってました。
また先が熟したら先をカットして。根元まで熟した時に初めてコンバインで刈ってしまったら?と。
ある意味、ミレーの「落穂ひろい」的には正解かもしれません。
人の手間代が恐ろしく安かった時代は出来るのかもしれません。
自然を大事にするという事はこういう事かもしれません。
こんな話からも常識を疑う事は大事だなあという教訓は得られると思います。
ロマンに費用対効果とか採算性という言葉は似合わないのかもしれません。
今、本当にこの収穫をするとしたら日本酒の値段は10倍にはなるでしょう。
かと言って、10倍美味しくなる事は残念ながら無いかもしれませんが。。
でも、立派な瓶とか箱とかにお金を掛けて付加価値を付けるよりは良いかなとも思います。
で、話は戻って、櫛羅1996の話。
初年度は刈り遅れた山田錦を55%に精米して醸しました。
酵母は9号酵母です。
当時は杜氏さんに醸造は任せていました。
「55%精米で50%精米に匹敵するお酒を造ってくれ!」
とはお願いしたと思います。
だからあえての55%精米でした。
記憶になるのは中々醪がキレていかないなあぐらいでした。
記録を見てみたら46日の醪日数で搾っているようでした。
どんな味わいだったかは忘れましたが、
記念すべき「櫛羅」ファーストヴィンテージで私の酒蔵人生の記念のお酒です。
今、現存するなら10万円でも買いますけど、ないでしょうね~
櫛羅1996
という訳で、櫛羅純米吟醸1996の話は、まだまだ。
次回に続く。。。